原文
この文章はChannel Fireballに掲載されたThe Most Overrated & Underrated Cards in LSV’s Hour of Devastation Limited Reviewの和訳である。原文の掲載は2017年7月11日だった。著者はAndrea Mengucci氏。
以下訳文。
私は夏期の試験をすべてパスした。なので数カ月ぶりに友人の家に行ったり、破滅の刻のプレリリースに毎回参加することができた。 今回はLSV氏のリミテッドセットレビューに基づいて破滅の刻のカードを評価しようと思う。3日間のシールド・ドラフトを経て感じた、過大評価と過小評価について書く。
カードごとの分析を始める前に、まず指摘したい点が2つある。
1) 《送還/Unsummon》効果は偉大だ
《送還/Unsummon》と《徙家+忘妻/Consign+Oblivion》はともに強力なカードだ。永遠と不朽はほぼすべてのデッキで採用されており、1マナか2マナで5マナ以上かかるカードと交換できるのは極めて強力である。 得られるテンポは破壊的だ。 これらのカードは、破滅の刻環境に満ち溢れた除去からあなたのクリーチャーを守ることができるし、カルトーシュを無効化することでも巨大なアドバンテージを稼ぐ。
バウンス効果は一般的にカード・アドバンテージを失うので、私はこれまで好きではなかった。しかし、このセットで私は考えを改めた。
(訳注: LSV氏の評価で《送還/Unsummon》《徙家+忘妻/Consign+Oblivion》はともに3.0点。)
2) サイクリングは過大評価されている
知っての通り、アモンケット環境においてサイクリング能力は極めて過大評価されていた。《有翼の番人/Winged Shepherd》のようなカードのピック優先度は急落したのだ。 これは破滅の刻環境でも変わらない。 たしかに《砂漠セロドン/Desert Cerodon》や《川蛇/River Serpent》よりもわずかに良い《花崗岩のタイタン/Granitic Titan》や《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》のようなカードを手に入れることができた。 しかしこれだって穴埋めのためのカードにすぎない。 私がデッキに入れるのはプレイアブルなカードが少ないときか、《狡猾な生き残り/Cunning Survivor》や《忌まわしい生き残り/Grisly Survivor》のようなサイクリングとシナジーを持つカードを使うときだけだろう。
(訳注: LSV氏の評価で《花崗岩のタイタン/Granitic Titan》は2.0点。《縞カワヘビ/Striped Riverwinder》は2.5点。)
過大評価されているカード
《野火の永遠衆/Wildfire Eternal》
(訳注: LSV氏の評価では3.5点 → 赤)
私は熱心な学生なので、移動中もずっと学習することにしている。 そして電車の中でLSV氏のセットレビューをすべて読んだ。そこで彼はこのカードに3.5点という高得点をつけていたのだ。 そういうわけで、最初に参加したプレリリースで私は赤を選んだとき、ためらうことなくこのカードをデッキに入れたのである。
さてこのカードが戦場に出たとき、この1/4はピンガー(訳注: 1点のダメージを飛ばすカード)以外の何物でもなかった。私の手札にあった呪文といえば、打ち消し・強化呪文・今いるクリーチャーには使いたくない除去、といった具合だったためである。
私は二度と《野火の永遠衆/Wildfire Eternal》をプレイしないし、あなたにもプレイしないことをすすめる。
《超克/Overcome》
(訳注: LSV氏の評価では4.0点 → 緑)
私はこれまでリミテッドで《踏み荒らし/Overrun》をプレイしたことがなかった。しかし、コイツは凶悪なカードだと言うので、2回目のプレリリースで興奮気味に黒緑デッキに入れることにしたのだ。
私はこのカードを何度も引いたが、唱えることは1度もできなかった。今では私は、このカードは広く過大評価されていると信じている。 このフォーマットはシールドでさえ極めて高速であり、また環境にはたくさんの除去呪文がある。だから、このカードが輝くような膠着した盤面というのはめったに出現しない。 ……ドラフトだと話は別かも知れないが。 この環境は明らかにより速くなっており、そしてアモンケット環境でさえ、緑はクリーチャーで盤面を埋め尽くすことができなかった。
《結束の試練/Trial of Solidarity》もまた4.0点の評価をくだされたカードだ。私は決して《超克/Overcome》と《結束の試練/Trial of Solidarity》を比較したりしない。そして《超克/Overcome》を優先して取ることは決してないだろう。
《空想の脅威/Imaginary Threats》
(訳注: LSV氏の評価では3.0点 → 青)
先程も述べたが、私はサイクリング・カードが嫌いだ。《空想の脅威/Imaginary Threats》も例外ではない。 私は最初のプレリリースでこれを使ったが、常にひどかった。 再度言おう。このカードで打破できるような膠着した盤面というのは、めったに出現しない。極稀な場合を除いて、このカードは常にサイクリングすることになるだろう。私の目には3.0点は高すぎるように見える。
《業火の噴流/Inferno Jet》
(訳注: LSV氏の評価では2.5点 → 赤)
これも話は同じだ。《溶岩の斧/Lava Axe》は酷いカードだった。それに2マナのサイクリングをつけてコストを1マナ重くしても、結局それは酷いカードのままである。
確かに相手のライフを6点まで削れれば、《業火の噴流/Inferno Jet》でとどめを刺すことができるだろう。しかし、序盤においてコイツは単にありふれたカードの1枚に過ぎず、結局可能な限りサイクリングすることになるんじゃないか。
私はこのカードをアグロデッキでは使わない。私は《火をつける怒り/Kindled Fury》や《かすむ刀剣/Blur of Blades》を優先するだろう。
過小評価されているカード
《かすむ刀剣/Blur of Blades》
(訳注: LSV氏の評価では1.5点 → 赤)
最初のプレリリースで私はコイツをサイドボードに入れており、X/1のクリーチャーを見たらサイドインすることにしていた。 結局私は毎回このカードをサイドインすることになり、最終的にそのままデッキに残すことにした。なぜなら、どの色のどのデッキも、タフネス1のクリーチャーを出してくるからである。《屍肉の金切り声上げ/Carrion Screecher》・《不屈のエイヴン/Dauntless Aven》・《オケチラの報復者/Oketra’s Avenger》・《熱烈の苦悶術師/Fervent Paincaster》をこのカードで殺すことができた。他の場合ではこのカードは戦闘に勝つための良いコンバット・トリックになり、アグロ戦略と噛み合う追加のダメージを稼いでくれた。
《かすむ刀剣/Blur of Blades》は綺羅星のように輝くカードではない。しかし、私のアグロデッキにぜひ投入したい、間違いのないコンバット・トリックである。
《抑え難い渇き/Unquenchable Thirst》
(訳注: LSV氏の評価では1.5点 → 青)
この除去呪文にLSV氏がなぜこんなに低い評価をつけたのか私にはわからない。 彼は《英雄的行動/Act of Heroism》や《不屈のエイヴン/Dauntless Aven》のようなアンタップ効果の存在に言及していた。しかし、私の経験からいって、環境に砂漠がどれだけあるかを踏まえれば、《抑え難い渇き/Unquenchable Thirst》は常に効率的な単体除去呪文だと言える。シールド戦では特にそうだ。
もし対戦相手が《不屈のエイヴン/Dauntless Aven》を複数枚運用していたならサイドアウトすればよい。しかし、白でないデッキが相手なら、《抑え難い渇き/Unquenchable Thirst》は軽量な単体除去呪文になるだろう。
《屍肉の金切り声上げ/Carrion Screecher》
(訳注: LSV氏の評価では1.5点 → 黒)
このカードは確かに穴埋め用なんだが、私は1.5点より高い評価をつけたい。 私は常に飛行クリーチャー相手のトラブルに悩まされていたし、先週末ずっと(とくにドラフトで)このカードが予想していた以上のダメージを稼ぐのを見てきた。たしかに《かすむ刀剣/Blur of Blades》や《熱烈の苦悶術師/Fervent Paincaster》のようなカードはある。しかし私はアグレッシブなデッキにナイスな回避能力を与えてくれる4マナ飛行クリーチャーというのが好きなのだ。
まとめ
破滅の刻環境では永遠により長期戦へのサポートが増えているが、アモンケット環境と同様にアグロが強力だろう。破滅の刻には《オケチラの報復者/Oketra’s Avenger》・《ロナスの重鎮/Rhonas’s Stalwart》・《空からの導き手/Aerial Guide》のような強力な2マナ・3マナクリーチャーがいる。これらのクリーチャーが環境の速度を定義することになるだろう。