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[翻訳記事] 上位互換

原文

この文章は海外公式サイト (DailyMTG)に掲載されていたStrictly Superiorの和訳である。原文の掲載は2014年3月3日だった。

初心者向け記事であるLevel One、Mike Flores氏版の第6回。

以下訳文。


以下のカードはどちらが良いカードだろうか。

Lightning Bolt / 稲妻 (赤)
インスタント
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。稲妻はそれに3点のダメージを与える。

Tidings / 連絡 (3)(青)(青)
ソーサリー
カードを4枚引く。

殆どの人はおそらく《稲妻/Lightning Bolt》だと答えるんじゃないかと思う。 そして、実践の結果の殆どが、それが間違いでないことを示している。 しかし、《連絡/Tidings》は今日のスタンダードの原動力の役割を果たしている。 幾つかの特定の制約下において、《稲妻/Lightning Bolt》よりも《連絡/Tidings》を引きたいときが1度や2度ある。このことは認めることができるだろう。

では、この2枚はどうだろう。どちらがより良いカードだろう。

Savannah Lions / サバンナ・ライオン (白)
クリーチャー - 猫(Cat)
2/1

Jackal Pup / ジャッカルの仔 (赤)
クリーチャー - ジャッカル(Jackal)
ジャッカルの仔にダメージが与えられるたび、それはあなたにそのダメージに等しい点数のダメージを与える。
2/1

新しいプレイヤーはとくに、デメリットのない白の2/1クリーチャーに魅力を感じるのではないか。 驚くべきことに、実戦においてはかなり長い間、ほほすべてのフォーマットにおいて《ジャッカルの仔/Jackal Pup》は《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》よりも良い成績を残している。 白にはその2/1の攻撃を通すためのサポートカードがほとんどなく、一方で赤はライフが減るという欠点をあまり気にすることは(少なくとも気にする必要は)なかったのだ。 《ジャッカルの仔/Jackal Pup》には悲惨なデメリットがついていたが、赤に豊富にある安価な火力呪文が攻撃を通す手助けになった。 一方で、《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》は先制攻撃持ちの2/2クリーチャーや、あるいは単純に大きいクリーチャーの前に立ちすくみ、引きこもるしかなかった。

《連絡/Tidings》よりも《稲妻/Lightning Bolt》が 常に 優れているとはいえないように、《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》と《ジャッカルの仔/Jackal Pup》のどちらが 常に 良いかというということも決めることはできない。

あなたが自身のアイデアをまとめ、より効率的な自身のデッキを作るにあたって、ある概念が役に立つだろう。 その概念があれば、あるカードが他のカードよりも 常に 優れているのかどうかの基準を認識することができる。もちろん優れたカードを使うべきだ。 この概念を 上位互換 と呼ぶ。

前回、一般的なコストで述べた、《灰色オーガ/Gray Ogre》の嫌な思い出に立ち返ろう。 《灰色オーガ/Gray Ogre》が嫌なカードの選択である理由の1つは、同じコストならもっと他に良い選択肢があるからだ、と我々は議論した。 これは上位互換のよくある1つのパターンである。

同じコストでより価値が高いカード

少し前に、デメリットのない《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》と比べて《ジャッカルの仔/Jackal Pup》のほうが大抵は効果的であることを述べた。これは、犬(や猟犬)が猫よりも強いからだろうか? 違う。(訳注: 現在《ジャッカルの仔/Jackal Pup》のクリーチャー・タイプはジャッカルだが、この記事が書かれた当時は猟犬だった。) これは、これらのカードを取り巻く他のカードの問題だ。 片方の色は、クリーチャーの質こそ劣っていたが、戦場に出ているものを押し返し、攻撃を押し通すだけの十分なサポートカードを持っていたのだ。 では、歴史の砂をふるい分け、1998年の人気者と2013年モデルを比べてみたらどうだろう。

Firedrinker Satyr / 火飲みのサテュロス (赤)
クリーチャー - サテュロス(Satyr) シャーマン(Shaman)
火飲みのサテュロスにダメージが与えられるたび、これはその点数に等しい点数のダメージをあなたに与える。
(1)(赤): 火飲みのサテュロスはターン終了時まで+1/+0の修整を受けるとともにあなたに1点のダメージを与える。
2/1

《火飲みのサテュロス/Firedrinker Satyr》は《ジャッカルの仔/Jackal Pup》とまったく同じコストで、《ジャッカルの仔/Jackal Pup》とまったく同じ効果……にちょっとしたオマケがついてくる。 《火飲みのサテュロス/Firedrinker Satyr》を使えば、2ターン目に2ダメージ与えるだけでなく、後半のターンには3点以上のダメージを狙うこともできる。 自分も多少ダメージを食らうかもしれないが、《火飲みのサテュロス/Firedrinker Satyr》を相手のより大きなクリーチャーと交換することも可能だ。

一方で《ジャッカルの仔/Jackal Pup》はどうか。それは悲惨で、通常非効率的なチャンプ・ブロッカーにしかならないだろう。

《ジャッカルの仔/Jackal Pup》に対して、《火飲みのサテュロス/Firedrinker Satyr》はパンプアップ能力という追加の価値を持っている。これは、上位互換のありふれた形態の1つだ。

《火飲みのサテュロス/Firedrinker Satyr》はほぼ常に《ジャッカルの仔/Jackal Pup》より良いといえる。

《先兵の精鋭/Elite Vanguard》は2010年版の《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》であり、見た目がちょっとかっこいいだけにすぎない。 しかし2013年版である《万神殿の兵士/Soldier of the Pantheon》は、《先兵の精鋭/Elite Vanguard》を周回遅れにしてしまうほど優れている。 《万神殿の兵士/Soldier of the Pantheon》はほぼすべての点で《先兵の精鋭/Elite Vanguard》と共通している。コスト・サイズ・そして人間であることも含めて。しかし毎ターン何の損失もなしに、テーロスの定番は《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm》を避け、《慈善獣/Alms Beast》を押さえ込むことができる!

  • 《万神殿の兵士/Soldier of the Pantheon》は《先兵の精鋭/Elite Vanguard》の上位互換だ。

一般的な話をすれば、デッキを作るときは上位互換のカードを選ぶべきだ。これは「常にそうすべきだ」という話ではない。これについては次回「冗長性」についての記事で触れよう。しかし、単にあるカードが他のカードより良いかどうか判断するのは全く難しいタスクではない。「他のカード」はたいていあまり良くないカードだからだ。先週のことを覚えているだろうか。

  • 《躁の蛮人/Manic Vandal》は《灰色オーガ/Gray Ogre》の上位互換だ。
  • 《スークアタの槍騎兵/Suq’Ata Lancer》は《灰色オーガ/Gray Ogre》の上位互換だ。

まあ確かに、《躁の蛮人/Manic Vandal》を戦場に出したとき、あなた自身のアーティファクトを破壊しなければならない場合があることは認めよう。しかしその事実は、《躁の蛮人/Manic Vandal》が機能するときにはそいつが非常に素晴らしいクリーチャーだという事実を曲げはしない。一方で《灰色オーガ/Gray Ogre》はあなたがプレイできるほぼすべてのカードよりも常に悪い。

すなわち、もし《スークアタの槍騎兵/Suq’Ata Lancer》をデッキに入れられるとしたら、《スークアタの槍騎兵/Suq’Ata Lancer》でなく《灰色オーガ/Gray Ogre》を使うなんて理由は見つけるほうが難しいということだ。

能力なしでは魅力のないクリーチャーに能力を追加すると、驚くほどの結果をもたらすことがある……。

  • 《従者/Squire》 → 《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
  • 《Balduvian Bears》 → 《野生の雑種犬/Wild Mongrel》
  • 《モンスのゴブリン略奪隊/Mons’s Goblin Raiders》 → 《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》

しかし、繰り返し言うが、これらの「素晴らしいカードは酷いカードより良い」パターンというのは、「あるカードが他のカードより優れている」一般的なケースのごく一部にすぎない。

このカードはどうだろう。

Shatter / 粉砕 (1)(赤)
インスタント
アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。

プロツアーの黎明期において、赤白のプレイヤー (赤と白の両方のマナを安定して生み出せるプレイヤー) は「5枚目の《解呪/Disenchant》」として《粉砕/Shatter》を使用していた。(これについても、来週の「冗長性」についての記事で再度取り上げる。) もちろん、一般的に《解呪/Disenchant》は《粉砕/Shatter》よりも優先して採用されるべきカードだ。しかし赤と白のマナを両方とも生み出すことができ、アーティファクトを壊せるカードが5枚以上ほしいのであれば………繰り返すが赤と白両方のカードを使えるのなら……《神への捧げ物/Divine Offering》を選んでも良いんじゃないか?

Divine Offering / 神への捧げ物 (1)(白)
インスタント
アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。あなたは、その点数で見たマナ・コストに等しい点数のライフを得る。

この疑問の答えは、あなたがこのカードに出くわしたときに明らかになるだろう。

Gloom / 憂鬱 (2)(黒)
エンチャント
白の呪文は、それを唱えるためのコストが(3)多くなる。
白のエンチャントの起動型能力は、それを起動するためのコストが(3)多くなる。

《神への捧げ物/Divine Offering》には大きなメリットがあるが手札で立ち往生してしまう。しかし《粉砕/Shatter》なら唱えることができるのだ!

ここでのポイントは、書いてあることからはわかりにくいのだが、《粉砕/Shatter》はほぼいつでも(1)(赤)で唱えられるカードだということだ。

ここがデッキ・デザイナーにとっての素晴らしいシグナルになる!

もし《粉砕/Shatter》が(《灰色オーガ/Gray Ogre》と違い)一貫して「十分に良い」カードだとして、明らかに追加の価値を得られるカードを見つけたら、(十分プレイアブルな)《粉砕/Shatter》よりも良いカードを見つけたと言えるだろう。

Ancient Grudge / 古えの遺恨 (1)(赤)
インスタント
アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。
フラッシュバック(緑) (あなたはあなたの墓地にあるこのカードを、そのフラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後それを追放する。)

Smash to Smithereens / 粉々 (1)(赤)
インスタント
アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。粉々は、そのアーティファクトのコントローラーに3点のダメージを与える。

Wear / 摩耗 (1)(赤)
インスタント
アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。
融合 (あなたはこのカードの片方の半分または両方の半分をあなたの手札から唱えてもよい。)
Tear / 損耗 (白)
インスタント
エンチャント1つを対象とし、それを破壊する。
融合 (あなたはこのカードの片方の半分または両方の半分をあなたの手札から唱えてもよい。)

これらのカードはすべて《粉砕/Shatter》よりも良い。なぜなら《火飲みのサテュロス/Firedrinker Satyr》のように、同じカードで元のカードより高い効果を発揮するからだ。

これらの事柄から、MTGには単純に素晴らしいカードがいくつもあることに気づいただろう!

《古えの遺恨/Ancient Grudge》は通常は《粉砕/Shatter》と同じカードだ。しかし、後半に(緑)を支払うと、追加の《粉砕/Shatter》を唱えることができる! 《古えの遺恨/Ancient Grudge》は複数の拡張されたフォーマットにおいて文字通り最高のカードだ。《金属モックス/Chrome Mox》や《等時の王笏/Isochron Scepter》のようなカードを何枚も出すプレイヤーがいる場合は特にそうだ。

《粉々/Smash to Smithereens》も《粉砕/Shatter》と同じことをしてくれる。しかし、《粉々/Smash to Smithereens》は赤の「バーン」テーマと驚異的なシナジーを発揮する。なぜなら《粉々/Smash to Smithereens》は《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》と同じ効果を、全くの追加コストなしで発揮することができるからだ。正しいデッキ構築として、《古えの遺恨/Ancient Grudge》や《摩耗+損耗/Wear+Tear》のようなカードアドバンテージよりも、《粉々/Smash to Smithereens》を選ぶプレイヤーを目にすることができるかもしれない。

上で挙げた他の選択肢と同様に、《摩耗+損耗/Wear+Tear》も《粉砕/Shatter》と同じことができる。しかし時には、このカードを使ってエンチャントを破壊することも可能だ。そしてさらに、時には1対2交換をすることができる。(さらなる選択肢やさらなる価値を与えてくれるというわけだ。) 《摩耗+損耗/Wear+Tear》は現在(訳注: 2014年3月)のスタンダードで利用可能だが……何人かのミッドレンジ使いはこれが禁止されるのを待ち望んでいるだろうな! 《エレボスの鞭/Whip of Erebos》と《地下世界の人脈/Underworld Connections》を同じターンに破壊されたことはあるか? 《拘留の宝球/Detention Sphere》と《漸増爆弾/Ratchet Bomb》は? 《摩耗+損耗/Wear+Tear》自体が爆弾のように思えてくるだろう!

  • 《英雄の破滅/Hero’s Downfall》は《殺害/Murder》の上位互換だ。

最新の基本セットにおいて、黒い単体除去の枠は《殺害/Murder》から《破滅の刃/Doom Blade》に再度置き換えられた。

《殺害/Murder》は《破滅の刃/Doom Blade》ほど人気にはなれなかったし、それほどプレイされていなかった。

一方で、殺害と同じコストの《英雄の破滅/Hero’s Downfall》はとても広く使われている。クリーチャー だけではなく プレインズウォーカーも殺せるという追加の柔軟性が、このカードをトップに押し上げているのだ。

同じような効果でよりコストが低いカード

あるカードが他のカードの上位互換になるもう1つのパターンは、同じまたはより大きな効果を、より低いコストや制限のより緩いコストで得られる場合だ。

さて、次の2枚はどちらが良いカードだろう。

Counterspell / 対抗呪文 (青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

Dissipate / 雲散霧消 (1)(青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。その呪文がこれにより打ち消された場合、それをオーナーの墓地に置く代わりに追放する。

ほとんどのプレイヤーは《対抗呪文/Counterspell》を選ぶんじゃないか。しかし答えはそう単純ではない。いくつかの場合、《雲散霧消/Dissipate》のほうが役立つ場合がある。たとえばフラッシュバック持ちのカードや、フェニックスの類を相手にして長期戦をやる場合などだ。その場合、《対抗呪文/Counterspell》は十分な仕事を果たせないだろう。

とはいえ、答えを出すのが簡単な組み合わせもある。

  • 《対抗呪文/Counterspell》は《取り消し/Cancel》の上位互換だ。

《対抗呪文/Counterspell》は《取り消し/Cancel》よりも良い。なぜなら、同じ効果でよりコストが低いからだ。

  • 《雲散霧消/Dissipate》は《取り消し/Cancel》の上位互換だ。

《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》が《従者/Squire》よりも良いように、《雲散霧消/Dissipate》は《取り消し/Cancel》と同じコストで、さらに強力な効果をもたらしてくれる。

バーン・カードには似たような関係にあるものが多い。

例えば……。

《稲妻/Lightning Bolt》と《火葬/Incinerate》の間に 明確な 上下関係はない。効果は《火葬/Incinerate》のほうが強力だからだ。しかし……。

  • 《稲妻/Lightning Bolt》は《稲妻の一撃/Lightning Strike》の上位互換だ。

《稲妻/Lightning Bolt》と《稲妻の一撃/Lightning Strike》は全く同じ効果を持っている。しかし、《稲妻/Lightning Bolt》はコストが半分だ。

  • 《火葬/Incinerate》は《稲妻の一撃/Lightning Strike》の上位互換だ。

《火葬/Incinerate》と《稲妻の一撃/Lightning Strike》はマナ・コストが同じだ。しかし、《火葬/Incinerate》のほうがある種のクリーチャーに対して強力で、より柔軟性がある。

  • 《稲妻の一撃/Lightning Strike》は《火山の鎚/Volcanic Hammer》の上位互換だ。

《火山の鎚/Volcanic Hammer》は《稲妻の一撃/Lightning Strike》よりも柔軟性が低い。3枚のカードは全く同じ効果なのだが、1枚は《稲妻/Lightning Bolt》の2倍のコストが掛かり、しかも自分のメイン・フェイズにしか唱えられない。 ショックなことに、その《火山の鎚/Volcanic Hammer》でさえ完全にプレイアブルなMTGのカードなんだけどな!

色をまたいだ場合のアドバンテージは明確でない

(あるいは、ほとんどの場合、まったくアドバンテージはない。)

ここで述べるのは、《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》と《ジャッカルの仔/Jackal Pup》、《粉砕/Shatter》と《神への捧げ物/Divine Offering》、それぞれの事例で挙げたことの繰り返しになる。単に、色が違えば、強みや弱みも違うのだ。従って一見弱いカードであっても、他の色にある「より強い」バージョンよりも、より望ましく・より効果的で・より成功する可能性がある。

《灰色熊/Grizzly Bears》に興奮するプレイヤーは少ないだろう。ただし、殆どのプレイヤーは《灰色熊/Grizzly Bears》は《鉄爪のオーク/Ironclaw Orcs》より強力だということを知っている。

まとめてみようか。マナ・コストは(ほぼ)同一だ。パワー・タフネスも同じ。《灰色熊/Grizzly Bears》はまったくのバニラだが、《鉄爪のオーク/Ironclaw Orcs》には防御に欠点がある。

では実際にどうか。《灰色熊/Grizzly Bears》は競技的な構築戦においてまったく1ドルも稼ぐことができなかった。一方、《鉄爪のオーク/Ironclaw Orcs》は長年に渡り多くのフォーマットで、何百ドル・何千ドルという賞金を間違いなく稼いできた。

集合的な経験から、個人的な色の好み、似ていない効果まで、あらゆる実践的な事柄を我々は議論することができる。しかし、それらを「厳密に」議論することができるとは限らない。

「上位互換」なのか、「大抵はよい」のか、それとも他の何かなのか?

ここでは上位互換に当たる場合とそうでない場合をそれぞれ見ていこう。

  • 上位互換でない: 《島/Island》と《涙の川/River of Tears》

《涙の川/River of Tears》では様々なことができる。他の2色土地と違ってアンタップ状態で戦場に出るし、あなたにダメージを与えることもない。では1ターン目に《祖先の幻視/Ancestral Vision》を待機できるだろうか?

  • 上位互換でない: 《テューンの戦僧/War Priest of Thune》と《古の法の神/Kami of Ancient Law》

すべての指標が《テューンの戦僧/War Priest of Thune》が良いと叫んでいる。結局のところ《古の法の神/Kami of Ancient Law》は1対1交換ができるに過ぎないが、《テューンの戦僧/War Priest of Thune》は相手のエンチャントを壊した上で攻撃に回ることができるのだ。しかし、《古の法の神/Kami of Ancient Law》は効果を発揮するまで唱えるのを待つ必要がないので、より柔軟性が高いといえる。

  • 上位互換でない: 《青サビ/Verdigris》と《ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman》

他の選択肢があるのに、わざわざ重くて柔軟性の低い《青サビ/Verdigris》を選ぶプレイヤーを見つけるのは難しいだろう。しかし、同じコストである《ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman》が持っているアドバンテージ (2/2のボディ) でさえ、厳密なものではない。《青サビ/Verdigris》はインスタントであり、他の(2)(緑)で唱えられるカードと違った形で盤面に干渉する。

  • 上位互換でない: 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》と《のぞき見/Peek》

《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》はマナ不要で唱えられるにもかかわらず、ソーサリーとインスタントの違いはその使用法に興味深い分断を生み出す。先週行われたプロツアー神々の軍勢で、両方のカードがトップ8のデッキに含まれていた。Alkioは《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》との相性のために《のぞき見/Peek》を採用し、Dickmannは《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を巨大化させるためにソーサリーを必要としていたのだ。

UR Twin - Anssi Alkio

土地 (23)

  • 1x 《僻地の灯台/Desolate Lighthouse》
  • 5x 《島/Island》
  • 3x 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
  • 2x 《山/Mountain》
  • 4x 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
  • 3x 《蒸気孔/Steam Vents》
  • 1x 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
  • 3x 《硫黄の滝/Sulfur Falls》
  • 1x 《地盤の際/Tectonic Edge》

クリーチャー (14)

  • 4x 《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》
  • 1x 《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》
  • 2x 《やっかい児/Pestermite》
  • 4x 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
  • 1x 《呪文滑り/Spellskite》
  • 2x 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》

呪文 (23)

  • 2x 《謎めいた命令/Cryptic Command》
  • 1x 《払拭/Dispel》
  • 2x 《電解/Electrolyze》
  • 1x 《イゼットの魔除け/Izzet Charm》
  • 4x 《稲妻/Lightning Bolt》
  • 1x 《のぞき見/Peek》
  • 3x 《差し戻し/Remand》
  • 4x 《血清の幻視/Serum Visions》
  • 1x 《呪文嵌め/Spell Snare》
  • 4x 《欠片の双子/Splinter Twin》

サイドボード (15)

  • 3x 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
  • 2x 《殴打頭蓋/Batterskull》
  • 2x 《血染めの月/Blood Moon》
  • 1x 《払拭/Dispel》
  • 2x 《炎の斬りつけ/Flame Slash》
  • 2x 《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》
  • 2x 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
  • 1x 《不忠の糸/Threads of Disloyalty》

Tarmo-Twin - Patrick Dickmann

土地 (21)

  • 1x 《繁殖池/Breeding Pool》
  • 1x 《森/Forest》
  • 2x 《内陸の湾港/Hinterland Harbor》
  • 2x 《島/Island》
  • 4x 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
  • 1x 《山/Mountain》
  • 4x 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
  • 3x 《蒸気孔/Steam Vents》
  • 1x 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
  • 2x 《硫黄の滝/Sulfur Falls》

クリーチャー (16)

  • 3x 《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》
  • 3x 《やっかい児/Pestermite》
  • 2x 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
  • 4x 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
  • 4x 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》

呪文 (23)

  • 2x 《謎めいた命令/Cryptic Command》
  • 1x 《電解/Electrolyze》
  • 2x 《炎の斬りつけ/Flame Slash》
  • 2x 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
  • 4x 《稲妻/Lightning Bolt》
  • 4x 《差し戻し/Remand》
  • 4x 《血清の幻視/Serum Visions》
  • 4x 《欠片の双子/Splinter Twin》

サイドボード (15)

  • 2x 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
  • 2x 《神々の憤怒/Anger of the Gods》
  • 1x 《殴打頭蓋/Batterskull》
  • 1x 《焼却/Combust》
  • 1x 《対抗変転/Counterflux》
  • 1x 《四肢切断/Dismember》
  • 1x 《払拭/Dispel》
  • 1x 《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
  • 1x 《自然の要求/Nature's Claim》
  • 1x 《否認/Negate》
  • 1x 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
  • 1x 《呪文滑り/Spellskite》
  • 1x 《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》

ひょっとしたら予想外かもしれないが、以下が厳格な例だ。

  • 《氷河の城砦/Glacial Fortress》は《沿岸の塔/Coastal Tower》の上位互換
  • 《溶岩爪の辺境/Lavaclaw Reaches》は《アーボーグの火山/Urborg Volcano》の上位互換
  • 《Scrubland》は《神無き祭殿/Godless Shrine》の上位互換

既に気づいているかもしれないが、例えば現在のスタンダードのような比較的狭いフォーマットにおいて、純粋な上位互換はそれほど多くない。それ故に、この手の選別を行う能力は、より広いカードプールを見たりより大きなフォーマットをプレイするときにのみ発揮されることになるだろう。 従って《エルフェイムの宮殿/Elfhame Palace》と《活発な野生林/Stirring Wildwood》や《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》のように、実際には競合していないカードを同じ文脈で比較しようというのは、いささかアンフェアだったかもしれない。 しかし、上位互換の概念について理解する力は、新しいカードを評価する上で役に立つ。

私のTom Martellへのインタビュー (訳注: リンク先はInternet Archive)を読めば、過去の知識やパフォーマンスをモデル化することが現在や未来における能力を高めるための近道だと、トップ・プレイヤーが考えていることがわかるだろう。だから、もしあなたがこれまでプレイされてきたカードの上位互換であるカードを見つけた場合(たとえば《粉砕/Shatter》の強化版とか)、新カードの評価において鋭い感覚(あるいは少なくとも手がかり)を与えてくれることだろう。

愛をこめて。

Mike