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[翻訳記事] アモンケット・シールド講座

原文

この文章はMTG Card Marketに掲載されたAmonkhet Sealed Lessonsの和訳である。原文の掲載は2017年5月2日だった。


お帰りなさい。アモンケットはリリースされて、先週末はGP北京の準備のため、私はリミテッドに時間を費やした。 このリミテッド・フォーマットはとても楽しく、そしてとても奥が深い。 この記事では、私が得た教訓をいくつか見ていくことにする。 私がプレイしてきたのはおもにシールド戦だが、多くの事柄はドラフトにも当てはまるだろう。

アモンケットにおける”断片”

アモンケットはまったくもって多色推しのセットではない。にもかかわらず、環境には3色以上のデッキが驚くほど存在する。 《進化する未開地/Evolving Wilds》以外にマナを補正する土地のサイクルがないにもかかわらず、これは事実だ。 おそらく環境にあるデッキの半分以上が、3色以上で構成されている。

マナ補正のために使えるカードのほとんどは緑だ。 《楽園の贈り物/Gift of Paradise》は極めて悪いカードに見えるが、加速カードとランプ戦略との組み合わせは十分プレイアブルだといえる。 《オアシュラの耕作者/Oashra Cultivator》は遅いが、ブロックが可能であるし、3色目へのアクセスも可能にする。 このように、マナ補正カードは素晴らしくも奥深くもないが、まあいくらかは存在するわけだ。

《オアシュラの耕作者/Oashra Cultivator》のような加速カードをデッキに入れる場合、それに見合うだけの報酬を用意しておくべきだ。 このセットには極めて巨大なアンコモンやレア・神話レアのボムがあり、極めて有効なタッチ色にできる。 例えば《潰滅甲虫/Decimator Beetle》・《激情の試練/Trial of Zeal》・《造反の代弁者、サムト/Samut, Voice of Dissent》そして神々はあなたのデッキを本当に強くするだろう。

ここで重要なのは、色をタッチして使うカードはマナカーブに沿ってプレイする必要はなく、唱えられれば直ちに強烈なインパクトを与えられるものにすべきということだ。 色をタッチすることはデッキ内のマナの一貫性を弱めるだけでなく、唱えられないときにそのカードを引き込んでしまうというリスクを抱える原因になる。 そのリスクは最低限に抑えるには、ゲームのどの段階でも強力なカードだけをタッチすることだ。 例えば、《山/Mountain》をトップデッキすることで《感電/Electrify》や《蓋世の誉れ/Deem Worthy》をプレイできるなら、それでもまだ良いだろう。

私はまず3色のデッキを避けようとするだろう。 デッキのパワーに差がつくときにだけ、色をタッチして数枚のカードを入れることにする。 除去や後半戦で勝つためのカードがあなたの2色デッキに不足している場合、色をタッチしてそれを補うのがよいだろう。

サイクリング

以前に述べたことだが、サイクリングは偉大だ。 《主張/Lay Claim》や《イフニルの魔神/Archfiend of Ifnir》のようなカードはリミテッドでは極めて強力なボムだが、2マナぶんの色拘束がそのカードがそれらをタッチする時の足枷になるだろう。 しかし、ここに色が不要なサイクリングが加わることで方程式は大きく変わる。 2ターン目、青マナが出ない状態で《主張/Lay Claim》を引いても、あなたはただそれをサイクリングできる。 あなたのデッキにこれらのカードを入れる機会費用は、サイクリングがない場合と比べて極めて小さい。 《微光鱗のドレイク/Shimmerscale Drake》は十分なフライヤーを持たないデッキにおいて、素晴らしいタッチ用のカードになる。 《苦しめる一射/Stinging Shot》のような強力だが狭いカードでさえ、相手がフライヤーを持っていないときに役に立つのだからメインデッキから入れておくことができる。

土地

このセットで《進化する未開地/Evolving Wilds》はコモンなので、殆どのシールド・プールで1枚か2枚手に入るだろう。 それ以上に、我々は《呪われた者の揺り籠/Cradle of the Accursed》や《絡みつく砂丘/Grasping Dunes》のような無色の砂漠を手にすることになる。 土地からもう少しだけ力を引き出すために、あなたはこれらをデッキに入れる欲求に駆られるかもしれない。でもこれは罠だ。 これらの土地はいずれも、マナ・ベースを乱すほどの価値はない。その効果はあまり強くないのだ。

《色彩の断崖/Painted Bluffs》は5色のマナ補正ができる良いカードに見えるかもしれないが、経験上、これもプレイアブルでない。 マナの総量を下げてまで、色補正をする価値はない。 《ゆらめく岩屋/Shimmering Grotto》は決してプレイアブルになることのなかったカードだし、それはここでも続いている。

レアのサイクリング土地についても忘れてはいけない。 もし青黒デッキを使っているなら、《異臭の池/Fetid Pools》は素晴らしい。 しかし、私は青や黒を使っているならいつでも、《異臭の池/Fetid Pools》を使うだろう。 機能的にはこのカードは《汚染されたぬかるみ/Polluted Mire》になるし、私は自分の黒のデッキに可能であればいくらでも《汚染されたぬかるみ/Polluted Mire》を入れるだろう。

青黒デッキにおける《まばらな木立ち/Scattered Groves》についてはどうか? ここでは《汚染されたぬかるみ/Polluted Mire》の代わりに《枯渇地帯/Blasted Landscape》が手に入るわけだ。 私はシールドでもドラフトでも、ほとんどすべてのデッキに色の合わないサイクリング2色土地を入れるだろう。 この環境は超高速なわけではないので、ゲームの後半で土地を他のカードに入れ替えられることは、極めて強力だ。 あなたもこの機会を逃すべきではない。 もしサイクリングによって誘発する能力がデッキに含まれているならなお良い。

《絡みつく砂丘/Grasping Dunes》が全く無価値だと言ったにも関わらず、色の合ってないサイクリング・ランドを入れるといったことに驚くかもしれない。 これらはマナベースに関してはどちらも同じ働きをする。しかし、報酬の差は巨大だ。 《絡みつく砂丘/Grasping Dunes》の効果はカード1枚分に匹敵することがない。それは弱く、対戦相手のカード1枚分と交換がとれることはめったにない。 しかしサイクリング土地は状況や対戦相手が何をプレイしているかに依らず、常にカード1枚と交換できる。 これは雲泥の差だ。

『デッキには15枚のクリーチャーを含むべきだ』

各フォーマットにおいて人々が使う典型的なリミテッド・デッキに、クリーチャーが何体含まれているかは興味深い。 アモンケットにおいて、私は自身の殆どのデッキに10~12枚のクリーチャーしか入ってないことに気がついた。 14枚か15枚になるのは、たまにだ。 少ないようにみえるかもしれないが、このフォーマットでは呪文が強力なので、これでもうまくいく。 クリーチャーが10枚しかなくとも、私は黒・青・緑のカルトーシュを使うだろう。 これらのエンチャントはすぐに価値を発揮するし、小さいクリーチャーにつけても効果があるので、1対2交換されないように気をつけてプレイすべきだ。

もちろん、より多くのクリーチャーを見つけることができれば、緑と白の碑は輝いて見えるようになる。 これらは13枚以下のクリーチャーとプレイするにはやや大雑把だが、17枚もクリーチャーがあれば素晴らしいものになる。 他3枚の碑はプレイアブルでないので忘れよう。

ながいたびがはじまる

新しいリミテッド環境が登場したときにはいつでも、それがどれだけ高速かについて相反する意見を聞くだろう。 私の経験で言えば、アモンケットは遅い。カラデシュに比べ遥かに遅いことは確実だ。 クリーチャーは自分で大きくなることはないし、盤面の脅威に対する良い回答もある。 不朽によって序盤でクリーチャーを交換でき後半で戦場に戻せるようになるので、攻撃的な立ち上がりを押さえ込むことができる。

ここでの教訓はシールド戦では長期戦の準備が要るということだ。 黒赤で良いマナカーブと除去を持つデッキは良いデッキだろう。しかし後半戦への備えがなければ躓くことになる。 4マナ・5マナのクリーチャーの多くは時間稼ぎをするうえで非常に有効だ。 ディスカード・シナジーを持つ黒赤デッキや、ボムやタッチされたフライヤーは非常によく見えるようになるだろう。

あなたがビートダウン戦略をしているときでさえ、対戦相手のドローのほうが速かったり、ライフを詰めきれないような状態になることがあるだろう。 あなたのデッキが後半戦を勝ち切るための方法を見つけておく必要がある。 《投げ飛ばし/Fling》のようなカードでさえ、あなたに驚くほどの時間を与えることができる。

まとめ

今日はここまで。この週末はリミテッドのGPのために北京に行く予定だ。 あなたがGPリッチモンドに参加するなら、幸運を祈る。もしそうでないなら、MOでシールドやドラフトを試してほしい。 このフォーマットは非常に楽しく、ほとんどすべてのことが可能なのだ。 また次回。