原文
この文章はChannel Fireballに掲載されたKaladesh Sealed Strategiesの和訳である。原文の掲載は2016年12月2日だった。
霊気紛争後のシールド戦に関する記事を読みたかったのだが、特に見当たらなかったので、少し古い記事を訳した。
殆どの人は知らないことだが、私は自分のことを根っからのリミテッドプレイヤーだと考えている。 殆どの人は私のことをエターナル環境と結びつけるが、私はいつだって、他の何よりもドラフトを多くプレイしてきたのだ。
私は自身の目標として、イベントの準備のためにMagic Onlineをより有効に活用することを定めた。 構築のためのカードは十分に揃っていない。しかし、ミルウォーキーGPで行われるカラデシュ・シールドの準備のために、多くのエネルギーを割いたのだ。
私は通常シールドを練習しない。なぜならば、シールドにおいてもっとも重要なのはパックから何がでるかであり、それは全くコントロール不能だからである。 妬みに聞こえるかもしれないが、Cクラスのカードプールで100%の構築をするよりも、A+クラスのカードプールで75%の構築をするほうがまだ強いのである。
もう1つ付け加えれば、実際のところ素晴らしいカードプールから構築を行うのは簡単で、下手なデッキを作るほうが難しい。
「見ろよ!強力な赤のレア3枚に、強力な緑のレア2枚だ!見ろよ!赤と緑は他にもカードがたっぷり有るぞ!」
何やったらこんなのに勝てるんですかね?
これまでの2週間、何度かシールドリーグをプレイして、私はこのフォーマットがどのようなものかを深く理解することができたと思う。 正しいデッキ構築にいかに近づくかについて、重要な観察がいくつか得られた。
「よい」シールドプールと「素晴らしい」シールドプールの間には大きな差がある
カラデシュには十分な公平さがあり、本当に酷いシールドプールを引き当てるのは難しい。 殆どのコモンとアンコモンは一貫したパワーレベルを持つので、殆どのデッキは同等の強さに感じられる。
しかし、よいデッキと素晴らしいデッキの間は何光年も離れている。 標準より強力なカードの平均密度をいかに高めるか、そのためにやるべきことはたくさんあるのだ。
カラデシュにはMasterpiecesが存在する。 つまり、ランダムに選ばれた幾つかのデッキは、他の追随を許さない理不尽なカードを持っているということだ。 例えば《太陽の指輪/Sol Ring》や《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》である。 シールドで《太陽の指輪/Sol Ring》と対戦したことがあるか? 俺はある。糞だ。
よいレアの存在は非常に重要だ。 もし幸運にも1枚か2枚入手できたなら、トーナメントは非常に簡単になるだろう。
このようなカードは、他のカードではできないような方法でゲームに大きな影響を与えるだろう。 レアなしでも素晴らしいプールになることはあるが、公平に言って、いくつかの強力な神話レアを持っているものこそ最高のプールだ。
私は「爆弾神話レアは強いぞ」というのが都市伝説でない事を知っている。 しかし、そのような爆弾神話だけでなく、いくつかの強力なレアや最高級のコモン・アンコモンでもデッキをぐっと良くすることができる。
よし、「神話やマスターピースが出るように祈る」以外の戦術の時間だ。
攻撃的であれ
引き分け狙いのために壁でいっぱいのデッキを作りたくなるシールド・フォーマットがいくつかある。しかし、カラデシュはそれらとは違う。
カラデシュのカードは攻撃するためのものだ。ほとんどのクリーチャーはパワーがタフネスより高く、ブロックより攻撃に適している。
これまで作ったベストなデッキの殆どは攻撃的なものだった。攻撃的であることが良い理由は3つある。
- 攻撃的な戦略を妨害できるほどタフネスの高いブロッカーがいない
- 攻撃を通す役に立つ、強力なコンバット・トリックが多い
- 機体システムがブロックを困難にしている
レアを除けば、防御的なプレイヤーに大量のアドバンテージをもたらすことのできるカードは、カラデシュにない。
《製造機構/Fabrication Module》はシールドでは強力なカードで、着実なアドバンテージをもたらす。 コントロール向けのようにも思えるが、このカードでさえ+1/+1カウンターを用いてアドバンテージを生み出すので、あなたを攻撃に向かわせるだろう。
素晴らしいシールド・デッキ
これまで私が作ったデッキをいくつか紹介したい。 このシールド・デッキの様々な面を説明する上で、これらのデッキは役に立つだろう。
これまで私が作った中で最強のデッキは赤白機体であり、簡単に無敗を達成できた。
このデッキはこの色における最高のコモン・アンコモンの集合であり、3枚の強力なレアさえある。
土地 (16)
- 1x 《霊気拠点/Aether Hub》
- 7x 《山/Mountain》
- 8x 《平地/Plains》
クリーチャー (14)
- 2x 《格納庫の整備士/Aviary Mechanic》
- 1x 《模範操縦士、デパラ/Depala, Pilot Exemplar》
- 1x 《変速の名手/Gearshift Ace》
- 3x 《光袖会の職工/Glint-Sleeve Artisan》
- 1x 《発明者の見習い/Inventor's Apprentice》
- 1x 《プロペラの先駆者/Propeller Pioneer》
- 1x 《捕獲飛行機械/Snare Thopter》
- 2x 《亢進する地虫/Thriving Grubs》
- 1x 《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar》
- 1x 《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist》
呪文 (10)
- 1x 《永存確約/Built to Last》
- 1x 《撃砕確約/Built to Smash》
- 1x 《高速警備車/Fleetwheel Cruiser》
- 1x 《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》
- 2x 《発明者のゴーグル/Inventor's Goggles》
- 2x 《改革派の貨物車/Renegade Freighter》
- 1x 《航空艇/Sky Skiff》
- 1x 《溶接の火花/Welding Sparks》
《改革派の貨物車/Renegade Freighter》はカラデシュで最も壊れたコモンだ。かなりの数のレアより強い。 このカードは戦闘でただ巨大であり、除去やコンバット・トリック無しで打倒するのは困難である。 2枚出てきて興奮した。
ぱっと見ただけだとこのデッキは「よいカード」の集まりにしか見えないかもしれない。事実、ほとんどのカードが「よいカード」だ。 しかし、潜在的に多くのシナジーが存在している。 2マナ・3マナのドワーフから《模範操縦士、デパラ/Depala, Pilot Exemplar》に繋いでビートダウンすることもできる。
他に強力なシナジーを持つカードとして私をひきつけたのは、《発明者のゴーグル/Inventor’s Goggles》だ。
このデッキには十分な工匠クリーチャーが含まれている。これにより、このカードはその効果を遺憾なく発揮し、ゲームを速やかに壊してしまう。 1T目《発明者のゴーグル/Inventor’s Goggles》・2T目《格納庫の整備士/Aviary Mechanic》で装備がタダだ。 私の2マナ3/4の前で、せいぜい頑張れ、ということである。 《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar》や《発明者の見習い/Inventor’s Apprentice》と《発明者のゴーグル/Inventor’s Goggles》の組み合わせも非常に強力だ。 これらのカードは戦場に軽量なアーティファクトを必要とするのだ。
《発明者のゴーグル/Inventor’s Goggles》は、ゲームの終盤にもクリーチャーを大きくすることができる。これはダメ押しに非常に有効だ。
素晴らしいデッキは良いカードを高い濃度で含んでいるものだ。そしてそれだけでなく、全体を統一するシナジーがあることも、素晴らしいデッキの条件である。
注意してもらいたいのは、私は、赤白が特に素晴らしい色の組み合わせだと考えているわけではないということだ。適切なカードがあればどの色でもゲームを支配することができる。
良いシールド・デッキ
先程の赤白機体は6分で組み上げたものだ。次に紹介するデッキは、完成までに長い時間をかけたものである。
土地 (16)
- 1x 《霊気拠点/Aether Hub》
- 8x 《森/Forest》
- 7x 《沼/Swamp》
クリーチャー (14)
- 1x 《高木背の踏みつけ/Arborback Stomper》
- 1x 《透彫虫の群棲/Fretwork Colony》
- 1x 《不法仲買人/Lawless Broker》
- 1x 《牙長獣の仔/Longtusk Cub》
- 1x 《多用途な逸品/Multiform Wonder》
- 1x 《ナーナムのコブラ/Narnam Cobra》
- 2x 《ピーマの先導/Peema Outrider》
- 1x 《プラカタの柱行虫/Prakhata Pillar-Bug》
- 1x 《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》
- 2x 《捕獲飛行機械/Snare Thopter》
- 1x 《亢進するネズミ/Thriving Rats》
- 1x 《亢進するサイ/Thriving Rhino》
呪文 (10)
- 1x 《霊気との調和/Attune with Aether》
- 2x 《短命/Die Young》
- 2x 《弱者狩り/Hunt the Weak》
- 2x 《気宇壮大/Larger Than Life》
- 1x 《自然の流儀/Nature's Way》
- 1x 《飾りの勇気/Ornamental Courage》
- 1x 《隠然たる襲撃/Subtle Strike》
この緑黒デッキで最も注意をひくのは、強いレアが欠落していることだ。 《水辺の虎/Riparian Tiger》よりわずかに良い、という理由だけで《多用途な逸品/Multiform Wonder》まで使うはめになった。
……長いテキスト、僅かな魅力……。
ここで1点とくに記しておきたいことがある。緑黒こそカラデシュ環境のシールドで最高の組み合わせだろうということだ。 緑と黒はプールに奥行きがあり、エネルギーと+1/+1カウンターというシナジーを共有している。
コンバットトリックはエライ!
緑黒のデッキを紹介した流れで、コンバットトリックについての議論に入りたい。私はこのデッキでX-1することができた。 予想以上の成績だが、これはデッキのテーマをコンバットトリック中心にしたところが大きい。
《気宇壮大/Larger Than Life》
ソーサリーはコンバットトリックになりえるだろうか?
このカードは対戦相手の意表を突くことができ、戦闘で派手な効果を発揮した。 だから先程の問いには「Yes」と答えたい。
私はこのカードをデッキに2枚投入した。理由は、このデッキのパワーが低いと考えたためで、可能な限り早く戦闘で押し切ってしまいたかったからだ。 赤いデッキで火力を投入し、射程圏を長くするのに近い。
《飾りの勇気/Ornamental Courage》
複数のシールドリーグを通じて、《飾りの勇気/Ornamental Courage》は私を魅了した。
高速なアグロデッキ同士のミラーでは、すべてのクリーチャーとすべてのマナが極めて重要である。 従って、番狂わせを起こすことができる1マナのカードというのは重要なのだ。
特に注目すべきは《弱者狩り/Hunt the Weak》に対する相性の良さである。
対戦相手が3/3のクリーチャーを4/4にして、あなたのクリーチャーを喰らおうとしているところを想像してほしい。 《飾りの勇気/Ornamental Courage》は突如現れ、対戦相手はクリーチャーと呪文の両方を喪うのだ。
まとめ
カラデシュのシールドで覚えておくべきは、環境が高速で攻撃的だということだ。 基本的なカードの殆どは同じようなパワーレベルだが、ごく一部のカードは段違いに強い。 もう1つのやり方がコンバットトリックであり、強力なレアのぶつけ合いから抜け出すことができ、1-2交換を取ることができる。
私はシールドフォーマットを大いに楽しんだ。 GPミルウォーキーの前にプレイすることをおすすめする。そこには、たくさんの学びとたくさんの楽しみがあるのだ。